chill out

by とうみ さな


 なんだァ? 俺んトコくるなんて珍しいな。
 アイツは? あ、まだ風呂か。
 ……サラミ食う? ほらよ。
 それにしてもアイツ風呂好きだよなー。俺なんてぬるいのにずっと浸かってるとかムリなんだけど。

 そういや、おまえが来る前の話なんだけどさ。
 その日荷物運び手伝えーとかなんとかで三蔵サマに呼び出しくらってよ。んで病み上がりなアイツ置いて俺一人で行ったワケ。

 ……帰ってきたら誰もいねーの。……なのに水滴の音だけ聞こえて超ビビッた。
 アイツの名前すげーでかい声で叫んじまったよ。
 倒れてるのかって思って、で、急いで探すじゃん?
 どこにいたかって?

 アイツ、本にビニールかけて持ってきて、頭にタオル巻いて、ジャスミンティーを蓋の上にのせて……のんびり半身浴してやがんの。
 タイルなんて光を反射させるくれーに磨かれててさ〜、確か抹茶の入浴剤も使ってたな。ウチの狭い風呂がセレブ空間になってたぜ。
 んで、アイツ何て言ったと思う?

「ああ、おかえりなさい……一緒に入りますか?」

 心配して損したっつーか。ひょーしぬけ。俺しばらく風呂の扉開いたまま突っ立ってた。
 一緒にって……。もしかしたら逆上せてたのかもなー。ほんのり顔紅かったし。

 さて、と。風呂上がりだし何か飲むだろ。ポットでも用意しといてやるか。あ、でも茶ァよりビールのほうがイイか?
 おまえはどーする? 酒は飲めねーよな? チー鱈喰う?
 明日の為に先に寝る? 真面目だなー。
 あ、アイツの運転粗かったら今のうちに言えよ? なーんてな。

 ンじゃ、明日もよろしく。オヤスミ。



【END】